前回の補足

前回の補足。物理屋さんからの引用です。

なんで、旧式の老朽化した石油火力がカムバックしたか、といえば、原子力を促進させるため新型機にリプレイスが進まなかったから。新型のGTCC(ガスタービンコンバインドサイクル)式の発電所は、発電効率が高く、原子力よりはるかに設置費用が安く、しかも工期が早い。効率向上競争も盛んだしね。GEなどは原子力から撤退して、ガスタービンに注力している。
さらに、三菱重工ガスタービンの前段でSOFC(固体酸化物型燃料電池)を利用し、効率を上げる「トリプルコンバインド」に乗り出している。
もう、原子力が無いと無理無理、言っている間に、事態は変化しているのだが。

効率の話はよく見るのですが、そもそものニーズが違うのです。以前のエントリーでも書いた電源別の発電単価は比較を再掲します。平成21年度の東京電力有価証券報告書より。

電源種別 費用(百万円) ウチ燃料(百万円) 発電量(百万KWh) 単価(円/KW) ウチ燃料(円/KW)
水力 86,556 (0) 11,015 7.85 (0)
火力 1,469,696 (1,155,444) 161,144 9.12 (7.17)
原子力 492,318 (37,172) 80,887 6.09 (0.46)
新エネ 396 (0) 13 30.46 (0)

※火力は汽力と内燃の足し算
これを見ると分かるように、火力は発電単価に占める燃料費の割合が高い、一方で原子力は・原子力は燃料費等が著しく安く、原価の大半が固定費(投資回収・維持費・諸経費等)でになります。よって発電単価を下げる為には火力では燃料費を下げるべく発電効率を高めることが重要になります。一方で原子力は火力に比べはるかに設置費用が高いけれども燃料費が著しく安いため、発電単価としては火力より安くなっています。ついでに言うならば、原子力は停止してますが、減価償却等の固定費負担はさほど変わらないはずなので、経営的にはただの金食い虫になっていると思います