自家発電設備を作ると電力会社から罰金を取られるという事実

前回は新規の電力事業者の参入障害について書きましたが、では自家発電設備を導入したらどうなるかという話。実は自家発電設備を導入しても、電力会社からお金を取られます。それも大きな設備を作れば作るほど、その費用が増えます。その費用の名前はアンシラリーサービス
東京電力 アンシラリーサービスのご案内

アンシラリーサービス料金 系統発電設備容量1KWにつき36円75銭/月

要は自家発電設備を設置しても、電力会社との系統に接続する限り、その規模に応じてアンシラリーサービス料金なるものを支払っていただきます、ということです。
アンシラリーサービスとは何か?前回述べたとおり、電気というのは使用量と発電量(供給量)が常に一致しなければなりません。一般的に自家発電を設置しても発電量は一定のため、不足分は電力会社から供給してもらう必要があります。よって、電力会社からの電力供給が完全になくなるわけではないのです。
電力会社の理屈はこうです。自家発電設備を導入しても使用量と供給量の差の調整をしているのは電力会社。たとえ前回書いたように30分単位で調整したとしても、1秒。1分調整は電力会社がしている。だから、電力会社の系統に連絡する以上、調整料金をいただきます。これがアンシラリーサービス料金
実はこの料金、昔から存在していたわけではありません。さきほどの東京電力の資料にはこう記載されています。

平成12年12月31日時点で特別高圧電線路に連携されている発電設備及び平成17年3月31日時点で高圧電線路に連携されている発電設備(〜省略〜)については将来のリプレース時まではアンシラリーサービス料を申し受けません。

つまり、昔に設置した設備は猶予されているわけです。ではなぜ平成12年と平成17年なのか?電力会社以外の会社が電力事業に参入が認められたのは、2000KW以上は平成12年、50KW以上が平成17年。つまり自由化のタイミングなのです。この料金、実は自家発電設備だけでなく新規の電力事業者の発電設備にも適用されます。新規電力事業者にも自家発電を設置する会社にも両方に対する、いわば罰金なのです
前回と同じですが、この制度、確かに理屈は正しい。しかし電力会社のシェアが帆飛んでである以上、個別の顧客の変動は平準化されるわけです。そもそも、自由化以前は不要であったということは自由化阻害にほかならない。
今回はこれくらいで。次回は未定。