孫さんへの疑問(電気代があがることが幸せなのか?)

前回、孫さんは"再生可能エネルギーの固定買取制度を拡大しているべきだ"と言ってますが、それは"電力会社は経営努力もしないで電気代が上がるだけの制度"ですよと書きました。そのことをご存知かどうかわかりませんが、電気代は上がるという認識はされているらしく、"いったん電気代は月500円くらい上がる。しかし、それから下がるんだ"ということを述べてられます。500円がどういう根拠で出てきたのか分かりません。が、それ以上に分からないのは、"いったん上がるって何年くらいなの?そして何年後から下がるの?”という時間軸
電化製品の場合、例えばブルーレイとかを見ても、最初は高いけれども普及するに連れ量産効果もあり、価格は下がっていきます。これはなぜか?高い値段で据え置いていても誰も買わなくなるからです。ライバルは安く、かつ、高性能の新機種をどんどん投入していきますからね
では電力の固定買取制度は?孫さん自身が出されたプレゼン資料をそのまま書けば「太陽光40円、20年」です。消費者は技術革新が起きても効率の悪い電気を買い続けなければならない。しかも、太陽光が火力に匹敵する競争力を持つまでは、この制度はやめられない。つまり、いったん電気代が上がるというのを10年、20年、場合によってはそれ以上、覚悟しなければならないのです。しかも、再生可能エネルギーへの置き換えを早く進めようとすればするほど、再生可能エネルギーの優遇制度を拡充しなければいけない。電気代が上がるのが500円で済まないかも知れない。
さらにいえば、電気代が500円上がる。個人なら、まだ、いいかもしれません。では産業は?再生可能エネルギーで新たな雇用が生まれることもあれば、電気代が上がることで死ぬ産業もあるのです。例えばアルミ精製なんかは「原材料電気」というくらい電力多消費産業です。電気代の上がり代によっては海外に出て行くでしょう。10年後下がりますから待ってくださいというわけにはいかない
事業家である孫さんがシンクタンクをやりたいのは甚だよく分かりません。ですが、どうせ提言するなら役人の作った固定買取制度に乗っかるのではなく、電気代を上げずに再生可能エネルギーが普及するために必要な制度設計を提案していただきたい。そしてビジネスの場で勝負していただきたい。
発電ビジネスはご本人も悩まれているそうですが、発電事業は巨大なインフラ投資がいるという幻にとらわれてるのではないでしょうか?やりたいことは何百台も風力を並べたり、太陽パネルを並べる事業なのでしょうか?それは原発と同じ巨艦電源主義であり、分散電源ではありません。分散再生可能エネルギー事業がやりたいなら、初期投資はしれてます(経営的には苦しい事業になるでしょうが)
それより以前にソフトバンクが今やるべきことは、この夏の節電投資です。ショップの照明をすべてLEDに変える、直営店舗には太陽光を設置する。店舗空調にエコアイスを導入する。この夏は全店舗で打ち水をやるとかもいいかもしれません。まずは足元を。そこが一番気になるところです