孫さんへの疑問(そもそも固定買取制度とは何か?)

孫さんが自由報道協会主催の場で「エネルギー政策の転換に向けて」という提言をなされました
http://minnade-ganbaro.jp/res/presentation/2011/0422.pdf
民主党でも講演をなされたようですが、ご本人も認めるように、つい一ヵ月までエネルギー問題(というか原発か)にほとんど関心を持たれてなかったわけです。その程度の専門性しかない方の話を聞きたいとは二酸化炭素25%削減を大々的に掲げた政党なのにエネルギー問題への認識がいかに低かったかを如実に表してますね
皮肉はこれくらいにして、この中で孫さんは「固定買取制度の拡大を進めるべきだ」とおっしゃったようです。ではそもそもこの「固定買取制度」とは何なのか?というのが今回の話
買取制度については資源エネルギー庁がポータルサイトで、以下のように記載されてます

「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」が2011年3月11日(金)に閣議決定され、第177回通常国会へ2011年4月5日に本法案を提出いたしました。

この方案の中身はこちら。これを参考に「固定買取制度」とは何かを箇条書きにします
・太陽光、風力、バイオマスといった再生可能エネルギーで発電した電力は電力会社がすべて買い取る(買取拒否はできない)
・料金、及び期間は経済産業大臣が定める。実は今も”太陽光だけ”は買取制度が存在しH23年度開始分は期間10年、住宅用42円/KWh、住宅用以外40円/KWhです
電力会社は買取の価格をすべて電気代に転嫁する(つまり電気代が上がる)
実はこの再生可能エネルギー固定買取制度開始にあわせ、ひっそりと終焉を迎える制度があります。それはRPS法
RPS法の内容はこちらに記載されてますが

電気事業者に対して、毎年、その販売電力量 に応じた一定割合以上の新エネルギー等から発電される電気 (以下、「新エネルギー等電気」という。)の利用を義務付け、新エネルギー等の更なる普及を図るものです。
電気事業者は、義務を履行するため、自ら「新エネルギー等電気」を発電する、若しくは、他から「新エネルギー等電気」を購入する、又は、 「新エネルギー等電気相当量(法の規定に従い電気の利用に充てる、もしくは、基準利用量の減少に充てることができる量)」を取得することになります。

固定買取と何が違うのか?RPS法は再生可能エネルギー由来の電力量を電力会社に義務づけるものの、費用の消費者への転嫁は認めていないのです。だから電力会社は義務量を達成すべく、なるべく安く調達しようとする
つまり再生可能エネルギーの費用負担は固定買取制度では消費者で電力会社の経営にはアウトオブ範疇。RPS法では電力会社の経営努力。もちろん再生可能エネルギーの導入はRPSより固定買取の方が進みます
どちらの制度がよいかは人それぞれでしょう。知られてないことが問題だと思いますけどね
というわけで予習はここまで。次回は本論の孫さんへの疑問
追記:USTでアーカイブを見ましたが、大川興業大川総裁が「固定買取制度は裕福層は太陽光発電で電気を売って儲かる。貧乏人は電気が高くなるばかり。孫さんは新しい技術で電気代をゼロにすることは考えてないのか?」という質問をされてました。固定買取制度による格差は全くもって正しい指摘です